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2025.01.27

設備投資効果を高める「経営」視点と「保守管理」視点の一体化(後編)

経営と保守管理が一体となった設備改修の実例

当社が担当した設備改修事例のなかから、経営者と施設管理者の双方の視点を取り込み、改善効果があったアプローチを紹介します。
竣工後20年を経過した某商業施設より、既存の熱源機器を寿命が尽きるギリギリまで保守をして使い続けるべきか、あるいは今のうちに更新すべきか、という検討を依頼されました。
①熱源機器を継続使用するかどうかの検討
事業主からの依頼により、20年が経過した熱源機器を寿命まで保守しながら継続使用すべきか、今すぐ更新するべきかを検討しました。
その結果、更新することを推奨しました。しかし熱源機器だけを更新したところで、空調システム自体の効率が悪い限りベストな解決とは言えません。そこで以下、②③の検討を行いました。

②空調システム効率化の検討
蓄熱槽を用いた現状の空調システムを調査したところ、効率が悪いことが判明しました。これを改善するためには、大きな投資が伴いますが、高効率で保守が容易な熱源機器を用いた空調システムに変更するという提案を行いました。

③経営的視点からの検討
今後20年間にかかる費用を比較した結果、現状の空調システムを継続利用すれば初期投資額は小さいが、変更する場合よりもライフサイクルコストは大きくなることが分かりました。また老朽化した既存空調システムを使い続けることによる営業へのリスクも浮上したため、新システムへの変更を提案しました。

この課題に対して、まずは寿命まで使い続けた場合に必要となる年間保全費をまとめました。保守の手間がかかるタイプの熱源機器であったため、寿命までの保全費を積み上げると新しいものに更新できるほどの額が必要になることが判明しました。さらに商業施設という建物用途上、熱源機器が故障して空調機能が停止してしまってはテナントに迷惑をかけることになるため、故障してから更新という事後対応は許されません。
寿命を過ぎればいつ故障するかわからない状態で使い続けることになり、膨大な保全費をかけたところで経営上のリスクが高くなってしまいます。よって、既存熱源機器は更新するという結論に至りました。しかし、現状と同じ熱源機器に更新するだけでは、わざわざ私たちが介入しなくても済むことです。保守管理業務や費用について経営者と施設管理者が常日頃抱いている課題点を整理し、双方の課題を解決できる提案を行うことが、設備改修におけるPM/CMとしての重要な役割だと考えています。

経営的視点と保守管理的視点は、施設運用において融合が遅れてきた分野でした。しかし、このように経営者と施設管理者が一体となって積極的な設備投資判断にたどりついたことにより、両者にとってメリットが生まれる結果となりました。経営資源として施設の運用方針を検討するのと一体的に、保守管理計画を立案することによって、投資の効果をより高め、合理的な施設運用が実現できると実感しています。
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※記載されている内容は、発表日現在のものです。その後予告なしに変更されることがあります。
※本内容は山下PMC「施設参謀マガジン」に記載の内容を一部改訂してご紹介しています。