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2025.06.26

山下PMCの寄り添い型CRE戦略と製造業・自治体における事例紹介

今回は、少し硬いお話ですが、みなさんが保有されている施設・インフラの老朽化対策・陳腐化対策についてお話します。ご存じのとおり、先日、埼玉県八潮市で、下水道管の破損が原因とされる道路の陥没事故が発生しました。下記のとおり、建設後50年を超えるインフラ(道路・トンネル・下水道等)の割合は、今後、加速度的に上昇する見通しです。

建設から50年以上が経過した社会資本の割合
※出典:国土交通白書。※令和2年度算出。 ※建設後50年以上経過する施設の割合については、建設年度不明の施設数を除いて算出。 ※河川管理施設には、堰、床止め、関門、水門、揚水機場、排水機場、管理橋、浄化施設、その他(立杭・遊水池)、ダム、独立行政法人水資源機構法に規定する特定施設等を含む。 ※港湾施設には、一部事務組合、港湾局を含む。


公共施設についても、1955年から1973年の高度経済成長期に建設された施設は全て築50年を超えており、施設の老朽化対策は“待ったなし”の状況です。さらに、コロナ禍をきっかけとした働き方の多様化や、人手不足により人材獲得競争も激化しており、快適な執務環境の再整備は喫緊の課題です。結果的に、計画的な老朽化対策に加え、人や企業に選ばれる施設の“あるべき姿”を考える必要が出てきました。大量の不動産を保有する企業や自治体にとっては、数千億円規模の投資が必要となり、場当たり的に投資するわけにもいかないレベルの金額です。
そこで、必要になるのがCRE(企業不動産)/PRE(公的不動産)戦略です。CRE戦略とは本来、CREについて「企業価値向上」の観点から経営戦略的視点に立って見直しを行い、不動産投資の効率性を最大限向上させていこうという取り組みです。
本コラムでは、さまざまな企業価値向上への施策の中でも、みなさんが身近に感じている「施設が老朽化して暑い・寒い・使いにくい」「従業員の執務環境を良くしたい」といった老朽化対策、人材獲得の視点からリアリティのあるCRE戦略を述べていきます。

絶対にあきらめないCRE戦略

「計画的な老朽化対策が必要とされている」「人や企業に選ばれる施設づくりを考えなくてはならない」「でもそれには多額の投資がかかる」等、CREにはさまざまな課題があります。そんな課題に押しつぶされそうなお客さまに対して、私たちは、“NEVER GIVE UP! CRE”と声をかけています。「絶対にあきらめないCRE」。それは、千差万別のお客さまのお困りごとを私たちCMRがじっくりお聞きし、議論を重ねながらゴールを導き出し、ともにゴール達成まで伴走していく寄り添い型のサービスです。
ゴールと一口に言っても、「老朽化の解消」「これからの施設のあるべき姿を考えそこに到達するための戦略づくりとあるべき姿の実現」等、お客さまによって千差万別なので、丁寧に議論を重ねて設定することが大切です。また、最初の既存施設の調査は非常に重要です。十分な調査を行うことで、その後の戦略が一般論になるのか、お客さまにとって最適化された唯一のものになるのかが決まります。

私たちは、一般的なエンジニアリングレポートで調査される劣化状況、耐震性能、環境リスク、長期修繕計画だけでなく、今までどのような施設管理・施設投資を行ってきたか、今後の施設の在り方や選ばれる施設になるためにどのような施設投資を考えているかもお聞きし、課題と方針をまとめます。その後は、リアリティのあるCRE戦略をまとめます。たとえば、物理的耐用年数(施設の寿命)を80年に設定し、80年で建て替える場合、80年を超えても使い続けた場合等、複数のシナリオを設定し、老朽化対策、バリューアップ投資、建て替え費用の長期的な投資計画を策定します。最後はゴールを実現するまで実行支援や効果検証を行います。PM/CMのノウハウを駆使し、時には同時進行する建設工事、改修工事、修繕工事等のマネジメントを行います。

山下PMCのCRE/PRE戦略

ここからは山下PMCが実際に手掛けたCRE/PRE戦略をご紹介します。

事例①:製造業が所有する老朽化した複数の施設

製造業のお客さまの事例です。保有している工場・事務所・福利厚生施設などの老朽化が進み、築50年以上を経過した施設も多く、今後の施設更新をどう進めれば良いのか悩んでいました。そこで、お客さまと山下PMCとで議論を重ね、今後の施設のあるべき姿を設定。計画的に施設更新を行う。そして、あるべき姿を実現し、企業価値向上を目指すことをゴールとして設定しました。

ゴール達成の第一歩として、以下の複数シナリオの今後数十年間の投資計画を試算しました。

・シナリオA 計画的に施設更新を行い、計画的にあるべき姿を実現するシナリオ
・シナリオB 計画的に大規模改修を行い、部分的にあるべき姿の実現を目指し、投資をやや抑制するシナリオ
・シナリオC 既存の施設を使い続け、必要最低限のあるべき姿の実現を目指し、極力投資を抑制するシナリオ

※参考として投資を最小化するための、あるべき姿の実現を諦めたシナリオDも試算

累積されるLCC(単位:億円)
今後も、物理的に施設更新が可能なのか、施設更新効果の深堀、関係各所との調整等多くの検討課題がありますが、
引き続き、お客さまに寄り添いながらCRE戦略サービスを提供していく予定です。

事例②:公共施設の維持保全

2つ目は、地方自治体で公共施設の維持保全のあり方を検討した事例です。保有している庁舎・学校・コミュニティセンター・保育園等の公共施設全体を維持管理していくにあたり、人手不足・技術継承不足で品質が担保できず市民サービスの低下につながりかねないという課題がありました。山下PMCは、ワーキング等を通じ、お客さまの課題をじっくりとお聞きし、それらを整理した上で、包括施設管理委託、CM方式、建築情報一元管理システム(b-platform)等をご提案しました。

(ご参考:自治体向けサービス『b-platoform for公共施設マネジメント』
https://info.b-platform.biz/public
山下PMCは、公共施設マネジメントのPDCAサイクルを整理し、サイクルの中で包括施設管理委託、CM方式、建築情報一元管理システムの位置付けや効果を整理しました。本件のゴールは長期的な公共施設品質の確保ですが、PDCAサイクルを実現するための手法として、上記の民間活用手法を提案し、実際に導入が始まっています。

民活手法の導入を契機に庁内の維持保全サイクルを改善

維持保全サイクルすなわちPDCAサイクルを確立し、民間活用手法を導入することでPDCAサイクルを確実に推進します。
※最新情報棚卸し:改修要望を絞り込むうえで、各所管課担当が現状の最新情報を効率的に把握するために建築情報管理システムを活用する。

以上、山下PMCが提供する寄り添い型CRE/PRE戦略の概要および事例をご紹介しました。みなさんの施設にまつわる困りごとを解決するヒントになると幸いです。

※記載されている会社名および製品名、商品名は、各社の登録商標または商標です。
※記載されている内容は、発表日現在のものです。その後予告なしに変更されることがあります。
※本内容は山下PMC「施設参謀マガジン」に記載の内容を一部改訂してご紹介しています。