企業不動産(CRE)を“価値の源泉”と捉えた施設運営を実現するための目指すべき姿は、事業運営・資産運営・施設運営の「3つの運営」の歯車を嚙合わせることから始まります。そのためには、経営の将来像とのギャップから課題を整理する「設定型課題解決」のアプローチが必須となり、それらを実行する社員が施設運営のコア業務に専念できる環境をつくるためには、「社員エンゲージメント」を高める働き方改革を推進していく必要があります。
これら一連の「すべきもの」を実行するためには、「人・スキル・時間・情報」といった経営資源を投入する必要がありますが、不足している経営資源を補うために、私たちは必要に応じて様々な支援サービスをご提供しています。
ここでBPM(Business Process Management)の実践事例をご紹介します。
BPMは以下のステップで業務プロセスの改革・再構築を行います。
ステップ 1:
現状の「業務プロセス(Input → 処理内容 → Output)」と「代表的なタイムスケジュール(年・月・日)と業務負荷」を可視化
ステップ 2:
可視化した業務プロセスを分析し、「事業戦略と施設戦略をつなげる視点」「ファイナンス視点」「内部統制の視点」「業務負荷削減の視点」で検討課題を設定
ステップ 3:
現在の業務プロセスと対比する形で、解決策(できれば複数)の仮説を構築
ステップ 4:
試行運用施設を選定(1~2施設程度)し、KPI(予実差、社員の労務時間等)を共有したうえで、仮説の業務プロセスを試行運用
ステップ 5:
本格運用に向けて対象施設数を徐々に拡大
施設運営における業務プロセスを可視化することによって、図に示すように業務分類することができます。
このうち「自動化・非専門職化できる業務」「社外に委託できる業務」「今後はなくせる業務」は、業務負荷軽減に直結し、軽減分を「これから強化したい業務」「これからも社員が行うべき業務(コア業務)」に配分することが可能となります。既存の業務プロセスの枠内のみで考える前のめり症的な対応ではなく、客観的視点からゼロベースで見直すことがポイントです。
CREを保有されているお客様の多くは、毎年CREに対する中期予算計画の見直し業務と、中期予算計画に基づく次年度予算化業務を繰り返されています。お客さまと実際に以下の課題設定を行い、BPMによって業務プロセスの改革・再構築を実践し、効果が得られています。
課題1:予算金額の精度向上(ファイナンス視点)
効果1:予算化プロセスをフロントローディング型に見直し予実差を軽減
課題2:社員の業務負荷平準化と、属人的スキルによる業務品質のバラツキ解消(業務負荷削減の視点)
効果2:社員がコア業務に注力できる環境を再構築すると共に、業務プロセスを可視化し、運用マニュアルを策定することで業務品質の平準化を実現
施設運営活動に終わりはなく、事業運営と連携した改革・再構築の繰り返しが求められています。