事例紹介一覧

2026.03.27

佐渡汽船株式会社様

360度写真を起点に図面も工事履歴も一元管理
属人化を解消し、次世代へつなぐ資産管理DXへ

(写真・左から、佐渡汽船株式会社 総務課 永井 秀明さん、総務課 久根内 貴さん、株式会社みちのりホールディングス グループディレクター 桔川 勉さん)

課題

  1. 情報が個人に紐づいており、次世代への引き継ぎが困難だった
  2. 紙やExcelでの管理により、図面や契約書を探すのに膨大な時間がかかっていた
  3. 築30~40年の老朽施設で、県の資産も混在しており管理が煩雑だった

解決策

  1. 360度写真から図面や工事履歴を確認できる「b-platform」を導入
  2. 山下PMCの伴走支援により、データ移行と運用ルールを段階的に整備
  3. 開発を始めてから約3ヶ月で導入環境を構築し、全社への展開を進めている

効果

  1. 倉庫で図面を探す手間がなくなり、360度写真から必要な情報をすぐに確認できるように
  2. 情報を探す手間が大幅に減り、担当者の負担が軽減
  3. 修繕計画と資産情報を一元管理することで、経営判断のスピードが向上

創業110年の海上運送事業者が挑む─施設資産管理のDX

佐渡汽船株式会社は、創業から110年にわたり、本土と佐渡島を結ぶ海上運送の定期航路事業を営む企業です。旅客・自動車・貨物の輸送を担う公共性の高い事業者として、複数の港湾ターミナルや関連施設の運営・管理に携わっています。

同社が抱えていた課題は、竣工から30〜40年が経過した老朽施設における情報管理の属人化でした。また、港湾区域に立地する施設には新潟県所有のものも多くあり、共同建設・区分共同所有という複雑な管理環境のもと、紙やExcelでの管理では情報が個々に散在し、後任者への引き継ぎが困難な状況が続いていました。

こうした課題を解決するため、親会社である株式会社みちのりホールディングスと共に、施設・設備情報を図面や360度写真とひも付けて一元管理できる「b-platform」の導入を決定。山下PMCの伴走支援を受けながら、DXを推進しています。

今回は、佐渡汽船・総務部の久根内さん、永井さん、みちのりホールディングス・グループディレクターの桔川さんに、『b-platform』導入の背景から現在の活用状況、今後の展望についてお話を伺いました。

"倉庫に半日籠って図面探し"─属人化した情報管理の限界

― 『b-platform』導入前はどのような課題がありましたか。

久根内さん:
次世代に引き継げるような定着した専用データベースが存在しない」ことが一番の問題点でした。紙やExcelデータが存在していても、個々で作成したデータ管理が主であり、人事異動の際に後任者に適切に引き継がれないという問題がありました。

永井さん:
建物・設備・装置機器の基本情報(設置時期、更新時期、最近の工事歴、どこの施工業者か)を確認する時間、図面を探しに行く時間、資産台帳や登記簿を確認する時間など、非常に手間がかかっていました。特に新潟県と工事費用を負担し合う共同工事の申請では、所有区分や設備内容によって負担率が異なるケースもあり、竣工当時の情報(契約書や協定書、完成図書)を探すため、長時間にわたり倉庫に籠っていたこともありました

永井さん
― 親会社として、なぜ資産・設備管理のDXを最優先課題とされたのでしょうか。

桔川さん:
佐渡汽船は、島民の生活航路として物資を運ぶ公共性の高い交通インフラです。施設や設備の情報が特定の担当者に依存する中、建物は老朽化し、担当者は入れ替わっていきます。実際に、乗船用の渡船橋に不具合が発生したこともありました。その時は何とか対応できましたが、設備トラブルが起きても、過去の情報がすぐに取り出せなければ判断が遅れ、お客様や地域に影響が出てしまいます。こうした状況が、施設運営の大きなリスクになると感じていました。

360度写真で"見たい情報"に即アクセス─b-platform選定の決め手

― b-platformを選定した決め手を教えてください。

桔川さん:
山下PMCは、単なるシステム会社ではなく、建築・建設マネジメントのプロフェッショナルであるPM(プロジェクトマネジメント)/CM(コンストラクションマネジメント)会社です。施設管理の実務を深く理解されているからこそ、現場で本当に使えるツールを提供できるのだと感じました。そうした背景があって、『b-platform』の導入を決めました。  

桔川さん

永井さん:
個々に散らばっていたデータが、360度写真図面上で登録したアイコンに触れるだけで瞬時に把握できる点が魅力的でした。さらに、『b-platform』と『kintone』連携によるオリジナルアプリで修繕計画が把握できる点も評価しました。次回更新をアラートで知らせる機能や、高額費用がかかる大規模修繕の年をグラフ化する機能などです。何より、次世代に引き継げる専用データベースとして機能することが最大の魅力であり、このデータベース自体が将来的な資産になると考えています。

― 具体的に、どのような機能が役立ちそうですか。

永井さん:
図面や360度写真を起点に、資産情報、工事履歴、契約・協定書といった関連情報を一つの画面に集約できる点です。これまでは私が倉庫に行って図面を探し、社内の関係者に提供していましたが、これからは社内の誰もが自分で必要な情報を取り出せるようになります。  

久根内さん:
技術的な専門知識がなくても、総務部門や経営層も同じ情報を見ながら状況を把握できるようになる点が大きいです。さらに、現場管理者が自ら360度写真図面上でアイコン登録して、不具合や破損に関する報告書、状況写真等をリンクできるコメント機能もあります。関係者間でリアルタイムにコミュニケーションを取れるので、日常業務の中で自然に使えると感じています。

『b-platform』の管理画面

桔川さん:
「施設や設備は多岐にわたるが、分かる人は限られている」という課題は、当社グループだけでなく、多くの企業が抱えている共通の課題だと思います。『b-platform』のように、情報を蓄積するだけでなく、日常業務の中で自然に使われる設計になっている点が重要です。こうした仕組みによって、「探す時間」が減るだけでなく、判断の背景や経緯が組織内に蓄積されていくと期待しています。

導入わずか3ヶ月──PM/CMのプロが支える、現場に根ざした伴走支援

― 導入時の手応えはいかがでしたか。

久根内さん:
当社の環境を理解いただいた上で、リクエストに応えつつ、問題点を導き出して適した方法をご提案いただけるスピード感が印象的でした。開発から導入まで約3ヶ月で完了し、まだ不慣れな登録作業についても充分サポートいただいており、安心して進められています。

― 山下PMCの伴走支援について、どのように感じていますか。

桔川さん:
もともと施設分野における実務を長年支援されてきた会社なので、困りごとをしっかり理解した上で作られたソリューションだと感じています。システムを入れれば完結するものではなく、既存の業務プロセスや役割分担まで含めて設計し直す必要がありますが、そうした感覚を分かっていらっしゃるので、本当に丁寧な仕事をしていただいています。  

永井さん:
いきなり全てをデジタル化するのではなく、まずは必要な情報の整理から始めていただきました。どの情報を誰が、どの業務で使うのかを明確にしながら進めてくれたことで、現場でも無理なく使えそうです。具体的には、既存の資産台帳や図面、工事履歴といったデータの整理・移行、日常業務の中で自然に使える登録ルールの設計、さらに、現場・管理部門・経営層が同じ情報を共有できる運用体制づくりまでを支援していただいています。  

桔川さん: PM/CM会社として実務経験があるからこそ、「きれいな仕組み」ではなく、「忙しい現場でも回り続けるDX」を実現できるのだと感じています。

情報の一元管理から戦略的な資産経営へ──データが育てる未来価値

― 今後、b-platformをどのように活用していきたいですか。  

久根内さん:
今後は、『b-platform』を資産台帳としても活用し、設備ごとの更新時期や修繕履歴をもとにした中長期の更新工事計画を立案できたらと考えています。設備が故障したときには、現場から360度写真図面上に状況を登録すれば、本社にいながら遠隔でも状況を把握できます。アラート機能も含めて、予防保全システムとしても活用していきたいです。

久根内さん

永井さん:
コメント機能を使えば、写真や図面上で現場と本社の関係者間がやり取りできるので、迅速な対応につながると思います。情報を管理するだけでなく、日常業務の中でコミュニケーションツールとしても使えることで、現場に根ざしたDX推進ができればと期待しています。現段階の使命は、b-platform内の環境を早く育てる(データを蓄積する)ことだと感じています。  

桔川さん:
長期的・持続的な事業価値の向上を進める中で、業務効率化からスタートすることで、データが溜まっていけば企業価値の向上につながるような戦略的な取り組みにも展開していけると考えています。修繕計画と資産台帳が一元管理されることで、再投資計画の策定など、経営判断のスピードと精度が大きく変わってくると期待しています。

総務部での活用から始まり、現場の皆さまが日々情報を蓄積していくことで、『b-platform』のデータベースが佐渡汽船様の貴重な資産として成長していく。その過程を、私たちも一緒に歩ませていただきます。貴重なお話をありがとうございました!

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※掲載内容は取材当時のものです。